VOL.1 初動

僕が兵庫の地場産業に本格的に向き合うようになったのは、約7年前2009年の春ごろから。
神戸生まれの神戸育ちの僕は、地元が好きやし、乱痴気を始めた頃から漠然と、いつかオリジナルを作るんやったら、地元の兵庫だけでコンプリートしたいなぁと考えてた。
ロックでもあるやんか、ニューヨークシティーハードコアとかLAメタルとかみたいに、その土地独特のシーンってカッコエエやん。なんかそんな感じに出来たらエエなと思ってて。
何となく、姫路で“コードバン”を作ってる、西脇には“シャンブレー”が有る、“ポー○ー”は豊岡で縫ってる、地元神戸の長田ではスニーカーが作れる、ぐらいの事は知ってた。けど、地元やのに何処にどう行って、何から手を付けたらモノづくりが出来るのか分からんのも気に食わんかった。
当時はリーマンショックや神戸発症の豚インフルエンザ、おまけに政権が変わったりで不況のどん底。今まで飛ぶように売れていたパリコレブランドも影を潜め、消費は下がる一方。
今でも覚えているのは、元町大丸前の五叉路の交差点、確か22:00過ぎぐらい
「なんかこのままやったらヤバいよぁ」
とか、考えながら交差点渡ってたら、ふと人気の無さに気づいた。
「僕ひとりぼっちやん…」
つづく